東京地方裁判所 昭和43年(ワ)6487号 判決
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〔事実関係〕 第五 請求原因に対する被告林守国の事実主張
<略>
第二項(一)のうち、被告車を所有していたことは認めるが、次の如く事故当時は運行の支配・利益を喪失していたものである。
すなわち、同被告は、被告車の検査証の期限が切れたので昭和四一年一二月頃、車両検査手続を依頼するため、千葉日産自動車株式会社修理工場前の道路上に被告車を置き、ドアに鍵をかけ、ドア鍵もエンジン鍵も自分で保管していたところ、昭和四二年一月三日何者かに持ち去られたことを発見した。その後、調査の結果、佐倉市に居住する訴外土井純の所為であることが判明し、同月一四日頃同人方附近に駐車していた被告車を取り戻した。同人は、被告林守国の卒業した千葉県立佐倉高等学校の後輩で知人ではあるが、被告車を使用させたり、無断使用を黙認したりした事実はない。被告小野寺勝之とは一面識もない。
〔判決理由〕(責任原因)
(一) 被告林守国が被告車を所有していたことは、同被告と原告との間において争いがない。そこで、運行の支配、利益を喪失した旨の同被告の抗弁について判断する。同被告は、訴外土井純に被告車を貸したことはないと主張し、同被告本人尋問の結果には右主張に添う趣旨の供述があるが、同被告は裁判官の質問に対しては被告車の購入代金の割賦弁済のために振出した手形の金額についてまでは土井に話していないと答えながら、被告代理人の質問に対しては手形の期日が一五日で毎月二万五ないし六〇〇〇円の支払をしなければならないことを土井に話したと答え、その間に矛盾があるのみならず、訴外中川に車を貸した覚えはないとの同被告の供述は<証拠>と合致しないなど、同被告本人尋問の結果は俄かに措信し難いところである。これに対し、<証拠>によれば、土井は被告林守国から被告車の購入代金の割賦金支払のための手形金支払に要する金策を頼まれて、二万五六〇〇円を貸したこともあつて、同被告から被告車を昭和四一年一一月一五日に借りたほか、昭和四二年一月三日にも被告車を借りて本件事故の同月一一日まで被告車を使用していたことが認められ、右事実を覆えすに足りる証拠はない。
そして、<証拠>によれば、土井は事故当時被告車の助手席に同乗していたことが認められる。
以上の事実によれば、被告林守国は運行の支配を喪失したものとは到底認められない。したがつて、同被告は被告車を自己のために運行の用に供していたものと認めざるをえない。(篠田省二)